不動産の売買契約はクーリング・オフできる?
皆さんは、クーリング・オフという言葉を
聞いたことはないでしょうか?
最近は、光回線やプロバイダー料金、
モバイルデータ通信料金等が安くなる
などと、チラシや電話で勧誘されて、
ちょっと話を聞いてみるだけのつもりが、
いつの間にか契約を結んでいた。
なんてトラブルがとても多いようです。
このように、
訪問販売や、電話勧誘販売等の、
不意打ち的な勧誘により、
冷静な判断ができない状態で
契約を結んでしまうトラブルが
多いので、特定商取引法では、
ある一定の期間以内であれば、
契約を無条件に解除できる
クーリング・オフという制度が
設けられています。
このような制度があるということを、
ご存じの方も多いのではないでしょうか。
それでは、このクーリング・オフは、
不動産の売買契約にも使えるのか?
というのが、今日の内容です。
結論から先に言うと、
ある一定の要件と一定の期間以内
であれば、不動産の売買契約でも
クーリング・オフはできます。
実は、前回のブログで触れた、
「8種制限」すなわち、宅建業者が
自ら売主となって、一般の方と宅地
建物の売買契約を結ぶ場合の2つ目
の制限として、一定の要件のもとで、
行われた申込みや契約は、
クーリング・オフ(無条件白紙撤回)
ができるように定められています。
どのようなケースがクーリング・オフ
の対象なのかというと、一般の買主が、
宅建業者の「事務所等」以外の場所
で買受の申込みや契約の締結をした
ときは、「書面」によりその申込みの
撤回、または契約の解除をすること
ができます。
具体的には、喫茶店やファミレス、
売り出し現地に設けられた仮設小屋
などで買受の申込や契約の締結を
したものは、クーリング・オフできます。
ただし、以下のケースは「事務所等」
以外の場所であってもクーリング・オフ
できないのでご注意ください。
ケース1.
宅建業者からクーリング・オフできる旨、
及びその方法を「書面」で告知された日
から起算して8日を経過したとき。
ケース2.
実際に物件の引渡しを受けて、かつ、
代金全額を支払ったとき。
ちなみに、
申込みと契約の場所が異なる場合には、
「申込みの場所」を基準にして、
クーリング・オフできるか否かを判断します。
例えば、申込みを「事務所等」で行い、
契約を「事務所等以外の場所」で
行った場合には、クーリング・オフは
できません。
それでは、
申込みを「事務所等以外の場所」で行い、
契約を「事務所等」で行った場合には
どうでしょうか?
お分かりだと思いますが、契約を
「事務所等」で行っていても、
申込みが「事務所等以外の場所」で
されているので、
「クーリング・オフできる」
というわけです。
判断に迷うことがあれば、
「申込みの場所を基準にする」
と覚えておけば安心ですね。
いかがでしたか?
民法上は申込みや契約には一定
の拘束力があるので、これを勝手
に撤回することはできません。
でも、宅地や建物は高額ですし、
一般の方が冷静な判断力のない
状態で行ってしまった申込みや
契約等についても、民法上の
拘束力を認めてしまうのは妥当
でないと、宅建業法では考えて
いるのです。
これは宅建業法が一般の買主の
保護を図ることを目的としている
からです。
これから不動産の取引きをされよう
としている方は、覚えておいても損は
ないと思います。
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