宅建業者が自ら売主となる時の「8種制限」とは?
不動産の売買契約において、
宅建業者と一般の人を比べると、
取引経験や専門知識について、
大きな差があります。
この差は、とりわけ宅建業者が自ら
売主となり、宅建業者でない人が
買主となる宅地や建物の売買契約
においては顕著になります。
宅建業者が媒介や代理の依頼を受けて、
その報酬である手数料を利益とする場合
とは異なり、自ら売主となる場合は、
その売買代金が利益になるので、
ともすれば宅建業者に有利な契約が
締結されてしまうことになりかねません。
そこで宅建業者でない買主が不当に
不利益を被ることがないように、
宅建業者が自ら売主になる場合には、
特別の制限が加えられています。
この宅建業法上の制限が、
全部で8つあることから、まとめて
「8種制限」といい、宅建業者でない
買主の保護を図っています。
まず1つ目の制限は、
自己の所有に属さない宅地建物の
売買契約締結の制限です。
これは、
宅建業者が自ら売主となる売買契約
において、他人物売買を原則禁止にし、
また、未完成物件の取引についても、
一定の制限を設けたものになります。
実は、民法上は他人物売買も有効です。
でも、宅建業者が自ら売主となる取引
においては、原則禁止とされています。
具体的に、売主である宅建業者が
所有権のない他人の土地(他人物)
について、買主との間で売買契約を
締結した場合を考えてみましょう。
当然、売主にはその他人の土地を
買主に引渡す債務が発生し、
買主には代金を支払うという債務が
発生します。
ここまでは通常の取引きでも同じです。
でも、
売主である不動産業者には、土地の
所有権が無いので、買主に土地を
引き渡すことができず、買主は損害を
被ることになります。
その上、
既に買主が支払っている代金があれば、
その代金の返還請求や損害賠償等の
請求を行うことになりますが、
売主が既に破産しているような場合には、
実際には損害賠償の支払いを受ける
ことができず、結局は泣き寝入りする
しかなくなる場合もあります。
一昔前には、このような手法で利益を
得る業者もいたそうです。
以上のような危険性から、
一般の買主を保護するために、
宅建業法では他人物売買を原則
禁止とし、同様に、未完成物件の
取引についても、一定の制限を
設けているのです。
ちょっと難しいかもしれませんが、
宅建業法では、いろいろな制限を加える
ことで、買主の保護を図っています。
少しでも知っておくと、いざ土地建物を
購入する時に役に立つかもしれません。
機会があればその他の制限についても
触れていきたいと思いますので、
楽しみにしていてください。
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