大家さんのための賃貸経営ブログ⑫
▼貸主からの契約解除について
今日は前回の内容の続きです。
3.貸主の「正当事由」
建物賃貸借契約において、貸主の
都合により一方的に契約の解除が
できるとすると、借主の生活の拠点
が不安定なものになり、安心して
生活を営むことができなくなります。
そのようなことから借主を保護する
ために、借地借家法第28条では、
貸主からの契約の解除や、貸主が
更新を拒むことが認められるため
には、「正当な理由」が必要である
と定めています。
※正当事由制度
解約等が認められるための要件
は以下の通りです。
(1)貸主および借主が建物の使用
を必要とする事情
更新を拒絶する貸主がその建物を
自ら使う必要性がどの程度あるか、
または借主が他に使用できる建物
があるのかなどが基本的な判断に
なります。
(2)建物の賃貸借に関する従前
の経過
契約の経緯や権利金等の支払
いの有無、金額、契約上の
義務の履行など。
(3)建物の利用状況
借主の利用状況、用法違反は
ないかなど。
(4)建物の現況
建物の老朽化により大規模な
修繕あるいは建替えが必要に
なっていることや、建物敷地を
利用する権利の喪失によって
建物の利用が困難になるなど。
(5)財産上の給付(立退料)の
提供の申出。
以上の要件のなかでも(1)が
重要で、基本的な判断基準と
なります。
つまり、貸主がどうしても
そこに住まなくてはならない
特別な理由があることや、
建物が著しく老朽化して居住
するには危険であることなど
を証明しなければ、裁判所は
正当事由があるとは判断しな
いとうことになります。
実際には、貸主が住むためで
あっても正当事由があると
裁判所が判断するケースは
少ないです。
このような場合、正当事由を
補完する意味での金銭の給付、
いわゆる立退料の支払いが
求められる場合があります。
ちなみに、立退料の有無は、
正当事由の有無を判断する
対象にはなるものの、立退料
の提供だけで正当事由を満た
すと判断されるわけではあり
ません。
他の事情が備わり、立退料の
提供もあるときに、正当事由の
ひとつとして補完されて判断の
基準になります。
また、
立退料の算定に基準等は
ありませんが、実務的には、
移転実費や慰謝料などが
勘案されて算出されます。
これらの立退料は、
一般的には高額になる
ケースが多いです。
正当事由の判断や、
立退料の算定は簡単な
ことではありません。
契約の解除でお悩みの
大家さんはお一人で悩まずに、
小江戸不動産までお気軽に
ご相談下さい。
いつもありがとうございます!
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